アンデッド
ジャンル:ミステリー・ホラー
場所:祇園
Gion
女は眠りにつくと、毎晩同じ夢を見た。それは、京都・祇園で理想の男が現れる幸せな夢だった。
初めの内はとても幸せな気分だったが、女は次第に悲しみに暮れていく。いつも同じところで必ず夢が途切れて、最後まで見ることが出来ないからだ。
毎晩同じ男の夢を見ている内に、女は夢の中だけに出てくる男を愛するようになり、忘れることが出来なくなっていた。
いっそのこと夢を現実にと、東京に住んでいた女は、夢で見る京都の地を自ら旅して回ることにした。
祇園では花見小路や新橋通りなど、真新しくも夢で見たままの懐かしい印象を与えてくれた。
京の都は、初めて訪れた次第に女の心を癒やしていく。
そんなある時、女は遂に夢の男にそっくりな男を見つけた。
まさか本当にそんなことが起こって、彼に出会えるなんて――
女は目の前の現実に驚きながらも、勇気を振り絞って男に声をかける。
女に声を掛けられた男の方も、何か驚いた様子だった。
よくよく話をしてみると、驚いた事に男の方も毎晩夢で見る女を探して、この祇園に訪れていたのだという。
その夢に出てくる女があなたにそっくりなのだと苦笑したあと、男はこう付け加えた。
「よかった。これで悪夢から解放される。実は私、結婚しているのです」
その日から女は、男の夢を見ることはなくなった。
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